2022年08月26日

お父様の金歯とお母様のリング、溶かしてお揃いのネックレスに


お父様の金歯とお母様のリング、溶かしてお揃いのネックレスに

メールでのお問い合わせ。
「亡くなった父がつけていた金歯を使ってアクセサリーが作れますか?」

時おり、こういったご相談がございます。
過去にも制作実績がありますが、課題になるのは
・金(Au)の含有量(割合)を把握するのが難しいのと
・重量が足りないこと
で、アイテムやデザインが限定されたり、職人さんの高い知見と技術が必要となります。

今回ご相談いただいたのは、50代・二人姉妹の妹様。
ご来店いただいて冒頭のようなご説明をさせていただき、
また色々なお話を伺う中で、お父様への想いとあわせ、
お母様がご愛用だった純金のリングも大切に保管されているとのこと。

純金(24K)のリングを使えば制作の可能性が上がることをお伝えし、
「母のリングと父の金歯を使って、姉とお揃いで着けられるアクセサリーに。」
とご希望が固まりました。

こちらが加工前のリングと金歯4点

お父様の金歯とお母様のリング、溶かしてお揃いのネックレスに

「リングと金歯を溶かした金属をそのまま全て使いたい。」
という想いをかなえてさしあげるために、
デザインは、出来るだけお預かり時の総重量と完成後の誤差が出ないように緻密な計算をして、「足さず、余らさず」を実現できるシンプルなIラインのバーデザインのネックレスをご提案しました。

溶かした金歯などをそのまま用いる方法は、金属の特性を把握することと、アクセサリーとしての強度を実現するのが非常に難しく熟練の知見と技術が必要です。
金の融点は1064度。
酸素バーナーで温度を上げ、溶解していきます。

お父様の金歯とお母様のリング、溶かしてお揃いのネックレスに

溶け切った状態を感覚で見極め、金型に一気に流し込みます。

お父様の金歯とお母様のリング、溶かしてお揃いのネックレスに

強度を高めるため、「温めて、叩いて」を何度も繰り返します。
そして、厚み・幅を調整しながら丁寧に成型をしていきます。
仕上げの工程を何回か重ね、ようやく完成したのが冒頭の写真です。

ご姉妹で着けられるようペアなのと、重みをしっかり感じられるバーデザインのネックレスで出来たことがポイント。

チェーンは長さ調整ができるアジャスター付で少し長めのデザインに。
ペントップの通し替えが出来ますので、コーディネートの幅も広がり楽しめます。

お父様の金歯とお母様のリング、溶かしてお揃いのネックレスに

新盆におふたりの胸元にお届けできました。
ご丁寧なメールもいただきました。

「先日は、ペンダントをお盆の帰省に間に合うよう仕上げてくださり、ありがとうございました。
姉に見せたら、父母の形見のペンダントは、思ったより良くできていて、嬉しくて、何て言っていいか言葉が見つからないと喜んでいました。
姉と一緒にお墓参りに行った時の写真も送ります。
まだまだ暑い日が続きます。どうぞご自愛くださいませ。」

お父様の金歯とお母様のリング、溶かしてお揃いのネックレスに

お父様とお母様が、優しく微笑まれているのが浮かびます。
お手伝いさせていただきありがとうございました。

コンセプト ジュエリーワークス
デザイナー 橋本 志織


-ジュエリーのスタイリング・デザイン承ります-
[お問い合わせ・ご予約]
03-5708-5043
www.concept-jw.jp







posted by CONCEPT JEWELRY WORKS at 16:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | 【order PENDANT】