
2023年最後にご紹介する事例は、
今年一年をかけて制作スタートし、そしてゴールが2030年になる、というお話です。
男性様が最初にいらしたのは今年の初め。
「妻とペアの“ナヴァラトナリング”を作りたい」
というご相談でした。
「ナヴァラトナ(Navaratna)リング」とは、インドの伝統的なお守りとされるリングで、ナヴァは「9」、ラトナは「宝石」を意味します。
9石はそれぞれ太陽や月などの惑星を表しており、センターにルビー、時計回りにブルーサファイア、キャッツアイ、イエローサファイア、エメラルド、ダイヤモンド、パール、サンゴ、ガーネットがぐるりと一周囲みます。
詳しくお聞きすると、
「理想のリングをオーダーメイドで作り、ふたりにとってのお守りとして身に着けていたい。そして、毎年の結婚記念日をメモリアルに残していくために、カラーストーンを1ピースずつ増やしていき、結婚10周年の2030年にナヴァラトナリングを完成させたい。」
と明確なアイデアをお持ちでした。
イメージはオーバル型(楕円)、素材はイエローゴールドというご希望もおありでしたので、
私からはデザインと造りの細部をご提案させていただきました。
男女のオーバルの大きさ、比率、エッジの仕上げの違い、そしてこれから毎年ストーンを埋め込んでいくためにもしっかりとした無垢のゴールドでの制作などをお伝えしました。

スタートの今年は2石ずつを埋め込むことに。
夏に、男性様はルビー、女性様はサファイアを。
そして、冬、どちらもパールをセッティング。
来年からは結婚記念日に1石ずつ入れていき、ナヴァラトナの完成は2030年となります。
スタートの石をあえて変え、完成までの過程の違いも愉しみます。
使用されたリングの細かい傷は、そのまま残しておくこともおふたりのこだわりです。

ナヴァラトナは、生まれた子供への愛情の証でもあります。
「この子が素晴らしい人生を歩めるように」という想いも込められると言われています。
新しくストーンが増えたリングをご納品させていただく度に、家族写真を撮影させていただくことに。
夏から冬へ。すでにお嬢様の成長がうかがえますね!


これから7年間のリングの進化の過程と、お子様の成長がとても楽しみです。
素敵なアイデアのお手伝いをさせていただきありがとうございました。
大切なものを長期のスパンで少しずつ丁寧に育んでいき、そしてカタチにしていく。
素晴らしい考え方だなと思いました。
本年もご愛顧いただき誠にありがとうございました。
来年も皆様の毎日をより心豊かに楽しくなるお手伝いをさせていただきます。
そして今回のお客様の事例のように、過程を楽しんだり、熟成していく喜びもオーダーメイドジュエリーを通じてお伝えしていければと思います。
2024年の営業は、少し長めの充電期間をいただき、1月13日(土)よりスタートさせていただきます。
皆さまどうぞ良い年をお迎えくださいませ。
コンセプト ジュエリーワークス
デザイナー 橋本 志織