デザイナーの橋本です。
年末年始に訪れたフランスでの「アートと建築の旅」。
3回目は、ピカソ・陶芸作品の探求を振り返ります。
−アートと建築の旅@− フランス【マティス ロザリオ礼拝堂 / ヴァンス】
−アートと建築の旅A− フランス【マティス美術館 / ニース】
旅の前半は、南フランス・ニースを拠点にいくつかの街をめぐりました。
国立ピカソ美術館は、ニースから西へ電車とバスで1時間50分ほど、山の中腹の陶芸の街「ヴァロリス」にあります。
以前、南青山のヨックモックミュージアムでピカソの陶芸作品を見て以来、その遊び心に魅了されました。
南フランス・ヴァロリスの「マドゥーラ窯」で制作されたことを知り、今回行ってみたい場所のひとつでした。
キュビズムの巨匠、パブロ・ピカソといえば特徴的な絵画や彫刻が思い浮かびますが、陶芸作品もとても素敵なんです。
既に名声を得ていたピカソが、この地で晩年まで意欲的に制作した多くの陶芸作品を見ることが出来ましたので、出来る限りその雰囲気とともにご紹介しますね。
美術館外観
もとはヴァロリス城で、かつて修道院だった場所が現在は美術館になっています。

美術館入り口
国立ピカソ美術館・陶器美術館・マニエリ美術館の3つの美術館が入っています。

スペイン内戦を描いた作品「ゲルニカ」(1937)以降、平和活動に深く関わっていたピカソでしたが、第二次大戦後、その生活は大きく変化していきました。
1946年、ピカソは65歳にして陶芸という新しい表現に出逢い、騒がしいパリから南仏へ移住。終戦の解放感、新しい家族の形成、南仏の温暖な気候の中で、平和を享受し、心から喜びに満ち溢れたような制作を行います。
館内の映像では、たばこを片手にリラックスしながら楽しそうに絵付けをしているピカソの姿がありました。平凡なお皿や水差しや壺が、ピカソの手によって瞬く間に命が宿り、生き生きとしていく過程は、魔法をかけているようでした。

ピカソの絵画には平和の象徴である鳩が登場しますが、陶芸作品にも表れます。

「花束」1955(マドゥーラ窯のマダム ラミエ氏に捧げられたもの)
「麦わらのベッドに坐る鳩」1949 他闘牛シリーズ
ふくろうや山羊、魚などの作品の他にも、愛らしい表情がたくさん登場します。
遊び心に充ちあふれた作品の数々。ピカソにとって愛すべき大切なモティーフが、色やカタチを変えては繰り返されていく過程に、日常の眼差しが伺えます。

「格子の顔」1956 「四角い顔」1956 「顔と葉っぱ」1956 他顔シリーズ

「ほおづえ」1951 3本脚の壺のアレンジ
何点かヴァロリスでの展覧会のポスターの作品がありました。陶芸が衰退していたヴァロリスをピカソが盛り上げていったことが分かります。

木版画の版木と作品 「ヴァロリスの展覧会ポスター」
陶器美術館と同じ敷地内に、もと修道院の礼拝堂の壁と天井一面に描かれたピカソの大作があります。
70歳の誕生日を祝福した町の人へピカソが贈った作品といわれています。ヴァロリスの人々に愛された人気者だったんですね。「ゲルニカ」よりも知られていませんが、渾身のすばらしい作品です。70歳とは!!


「戦争と平和」1952
今回の訪問で感じたのは、「平和への想い」と「ヴァロリスへの愛」です。
陶芸作品は、絵画作品よりも直接的に想いを伝えられたのかもしれません。筆跡が絵画以上に分かり、また絵画より要素が少ない分、ピカソの気分や感情がより身近に感じられました。
人間・ピカソの横顔を覗けたような訪問でした。
そして、念願のマドゥーラ窯へ。工房は閉鎖中でしたが、古い石造りのこの中で、この地の土であの愛らしい作品が次々と生まれたと思うととても感慨深かったです。素朴で温かいヴァロリスだからこそと実感しました。

<Une petite pause“ちょっとひと休み”>
ヴァロリスの街並み、アイスクリーム屋さんの看板がチャーミングでしたので、パチリ。
まるで女子会のように楽しそうにおしゃべりするおじいさまの集まりが印象的でした。ご高齢の方々がお元気!

コンセプト ジュエリーワークス
デザイナー 橋本志織
-旅のブログ掲載中-
−アートと建築の旅@− フランス【マティス ロザリオ礼拝堂 / ヴァンス】
−アートと建築の旅A− フランス【マティス美術館 / ニース】
[お問い合わせ・ご予約]
03-5708-5043
www.concept-jw.jp
−アートと建築の旅@− フランス【マティス ロザリオ礼拝堂 / ヴァンス】
−アートと建築の旅A− フランス【マティス美術館 / ニース】
[お問い合わせ・ご予約]
03-5708-5043
www.concept-jw.jp