私がモノづくりをするうえで大切に、そして目標にしていること、
その究極で唯一の事例は「ココ・シャネルのデザインに対する姿勢と根底にある哲学」です。

中でも香水「N°5」の全てが私のお手本になっています。
何よりボトルデザイン。
当時の常識では考えられなかった厳格なミニマリズム。
スクエアなエッジと直線で構成されたボトル
シンプルなラベリング
黒で縁どられた白いパッケージ
「N°5」にはファッションのアウトプットと同様、シャネルの哲学がつまっています。

シャネルのアイコンとして90年以上経った今でも時代を超越し輝き続け、
ニューヨーク近代美術館のパーマネントコレクションとなっている「N°5」
でも、私がモノづくりをするうえで「5」に傾倒するのはデザインだけではありません。
それは「N°5」にまつわるさまざまな背景やストーリーに奥深さを感じているからです。
まずは「悲しいラブストーリー」の存在
この有名な香水が誕生する2年前シャネルは最愛の恋人を亡くしています。
そして「アートやカルチャー」との深い関わり
「N°5」が生まれたのは、アートシーンが活気に満ちた時代。
絵画だけでなく、詩や文学、音楽などあらゆるジャンルの芸術に「抽象性」が影響を及ぼした時代です。
シャネルはピカソ、ダリ、コクトー 、アポリネールなどの前衛芸術家たちと深い親交があり、当時の芸術家たちが表現したように「N°5」はキュビズムやダダイズム、シュルレアリズムを、香りとデザインの世界で実現した作品といえるのです。
そしてマリリン・モンローやアンディ・ウォーホル・・・
20世紀を代表するいくつもの場面に様々な「N°5」のドラマがそれぞれに表現されていきました。

「N°5」は時代が生み出した芸術品といえます。
この香水瓶を見るたび
いつの時代も色褪せることない「デザイン」と「スタイル」・・・
そして哲学のあるモノづくりを夢みているのです。
SHIORI HASHIMOTO
タグ:デザイン