
今回は、時計のお話です。
子供のころの懐かしい想い出を現在のライフスタイルに丁寧に取り入れられているお客様。
以前、小学生の時のお祖母様との想い出をリングにリメイクされた50代のミセスです。
>「小学生の時にもらったおばあちゃんのリングをリメイク」
「実家を整理していた時に出てきました。
長年止まっている時計をもう一度動かすことは出来ますか。」
とそっと見せていただいたのが冒頭の可愛らしい腕時計。
お客様が小学1年生の時、ピアノレッスンに通うためにお父様が買ってくれた初めての腕時計だそうです。
時計は手巻き式でしたので、まずは機械を分解し、オーバーホールしました。
機械がたいへん古く代替えのパーツがありませんので、
既存のパーツに手を入れお直しし、機械の洗浄後油をさし直し、丁寧にメンテナンスしていきます。
そして・・・、
なんと、再び時を刻みはじめました!
次に、現在のお客様が着けられるようベルトをお探しします。
当時は、赤いビニールベルトがついていたそう。
今回は、「革以外のベルトでリングと一緒に着けられるように」
とリクエストがありましたので、黒色でナイロン製のものをお選びしました。

お父様は残念ながら3年前に亡くなられたそうですが、
「お彼岸の時期に時計が元気になって戻り、父も喜んでいると思います。」
とおっしゃっていただきました。
そして、受験で一度は諦められた習われていたピアノを、
子育てが落ち着いた最近また始めているとのこと。
こんなエピソードも教えてくださいました。
「買ってもらったばかりの時、ずっとつけていたかったけれど、ピアノを弾く時はそっとピアノの高音のすみっこのスペースに置いていたんでした。黒ベルトで大人顔になった時計もピアノにぴったりです。」
お父様との想い出も蘇り、ピアノ演奏という止まっていた時間も再び動き出したのですね。

なかなか難しい場合も多いですが、
止まっている古い腕時計、このように動くケースもありますので、
ジュエリーのご相談とあわせて、お気軽にどうぞ。
コンセプト ジュエリーワークス
デザイナー 橋本 志織